どういうわけか、日本人はFXが大好きです。
FXは説明するまでもないかもしれませんが、「Foreign Exchange」が語源の日本で作られた造語で、
「外国通貨」を売買することにより為替差益を狙う「外国為替証拠金取引」のことです。
簡単にいえば通貨を両替する取引です。
円をドルに替えて、円安が進んだタイミングでまた両替をして差益を取るという単純な取引ですね。
しかし、このような為替トレードで稼ぐのは非常に難しいです。
1000万円というのは、資産運用を始めるに当たってキリの良い数字ではあります。
例えば私も友人に、1000万円の資産運用資金を貯めるために最近FXを始めたという人がいますが、正直に申し上げるとおすすめできたものではありません。
1000万円も資産があれば他にも様々な選択肢があります。
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インターネットでFXの情報を見ると運用成績を公開している方が多数おり、夢が広がる世界に見えるのも事実です。
今回はこの状況に対して事業会社で為替動向も日々追ってトレーディングも行なっていた筆者の見解を少し解説していきたいと思います。
FXのメリットとは?
まずFXのメリットについてお伝えしていきます。
レバレッジをかけることができる
FXでは手元の1000万円を元手に1億円分の取引を行うことができます。
たいていのFX会社は25倍のレバレッジを認めているので理論上では1000万円があれば2.5億円分の取引も可能になります。
例えば10倍のレバレッジを取って1億円分の取引をしている時に3%のリターンを得たとします。利益は300万円です。
すると元手の1000万円ベースで考えると30%ということになります。
通常の株式市場以上のリターンを狙うことも可能となります。
スワップポイントを受け取ることができる
日本はご存知のようにゼロ金利で世界最低水準の金利を維持している国になっています。
為替取引では日本より高い金利の国の通貨を保有すると金利差をスワップポイントとして毎日もらうことができます。
もちろん金利が上昇している米国の通貨であるUSDを保有してもスワップポイントを獲得することができます。
以下は米国の10年債金利の推移となります。
つまり、ドル円を購入することでスワップポイントがもらえるということです。
配当金が大好きな日本人にFXが人気である理由がよくわかりますね。
平日は24時間取引をすることができる
株式市場は当該国の株式市場が開いている昼間しか取引することができません。
日本の株式市場であれば9時から15時までの間ですし、米国の株式市場であれば23時半から6時までの間しか開いていません。
しかし、為替市場は月曜日の早朝から土曜日の早朝まで夜間も含めて取引することができます。
昼間仕事で忙しい方からすると夜も取引することができるFXは魅力的にうつりますよね。
FXのデメリットとは?
次のFXのデメリットについてお伝えしていきたいと思います。
元本を全て失うリスクがある
メリットの項目でお伝えしましたがFXはレバレッジをかけることができます。
レバレッジをかけることで高いリターンを得ることも可能ですが、資産の殆どを失う可能性もあります。
例えば10倍のレバレッジをかけている状況で10%の損失を抱えると元本ベースでは100%を失うことになります。
FXで資産を全て失った方を何人もみてきました。ハイリスクハイリターンなのです。
24時間相場があいているので本業に支障がでる
平日24時間相場が空いているということは24時間自分のポジションの損益が変動することを意味します。
特にドル円の場合は相場が大きく動く米国関連のニュースが真夜中にでます。
真剣にトレードしている方は朝3時や4時などの重要なFOMCなどで起きてトレードをする方もいらっしゃいます。
すると当然、寝不足になり本業や家族関係などに支障をきたします。
また損失を抱えている時は平日の昼間も気が気ではありません。
仕事の最中も気になって仕方なく頻繁にトイレに駆け込んでしまい本業に大きな影響がでてきます。
自分の身銭を賭けているので、ずっと24時間ギャンブルをしているような状況に陥ってしまうのです。
FXは投資ではなく投機
さきほどFXのことをギャンブルと記載したのには理由があります。
株式市場は時価総額全体が上がっていくのでプラスサムゲームです。
一方、為替は上がるか下がるかをあてるゲームです。ポーカーなどと同じです。
正確にいうとポーカーにおけるディーラーと同じく胴元のFX会社にビッドオファースプレッドを支払っているので若干のマイナスサムゲームでもあります。
人によってはスワップポイントをもらえるから、高金利通貨を購入していればプラスサムゲームだと考える人もいます。
しかし、これも考えが浅いと断じざるをえません。
金利が高い国の通貨は長期的に金利が低い通貨に比べて下落する可能性が高くなります。
つまり、スワップポイントを含めて上下に動く確率がそれぞれ50%に設定されているのです。
FXで儲けている人はどのくらい日本にはいるのか?
冒頭で日本人はFXが大好きであると触れましたが、これは根拠なしに私の周りの人々の印象だけで言っている訳ではありません。
世界中のFXトレーダーのうち、実に60%が日本人投資家であるというデータも有名です。
さて、なぜ日本人はFXが好きなのか?
それは「資産運用の知識の欠如」に他なりません。
「手っ取り早く稼げて、夢のあるリターンが見込める」
この言葉に簡単に惑わされてしまうのです。
中にはもちろんFXで大儲けをして有名になられた方もいるでしょう。しかし、そんな人は一握りです。
以下の表をご覧いただければ分かる通り全体の60%が負けています。
勝っている人は僅か24%しかいません。この中で大きなリターンを出しているのはほんの一握りです。
そもそもそのような人は手っ取り早く稼ごうとも思っておらず、地道に長年経験を積んで理論を確立した上で利益を積み重ねています。
職人と同様なのです。ポーカーが非常に強いプレーヤーと似たものがあります。
FXが流行するのは他の要因もあります。例えばテレビCMなどでもFX口座開設の宣伝が大々的に実施されていますよね。
個人投資家が口座を開き、利益が出ようと損失が出ようとも口座を利用してFX取引をすればそこで売買手数料(両替料)が徴収できます。
取引数が多ければ多いほど、FX口座を提供している会社は大儲けということです。
このような企業戦略も背景にあることから、日本ではFX取引が盛んになっているとも言えるでしょう。
ミセス・ワタナベの実績を見ればFXはそもそも、勝てる市場ではないことがわかる
他のデータからも個人投資家がFXで勝ちにくいという点をみていきたいと思います。FXはそもそも個人で勝てる市場ではないのです。
日本では専業主婦の多くの方がFX取引をしているイメージから、日本のFX投資家は「ミセス・ワタナベ」と称されています。
ネーミングが面白いですよね。そんなミセス・ワタナベの投資家動向は2016年は以下のように報じられていました。
外為どっとコム総合研究所がまとめた投資家動向調査によると、16年1月から12月までの損益状況について約52%の投資家が損失が出たと答えた。3割以上の損失が出た投資家が特に多い。
一方、利益を得たのは約37%にとどまった。英国民投票の読みが外れ、トランプ相場でのドル高に逆張りで挑んだことなどが「敗因」だろう。
アベノミクスが始まった直後の13年には損失を出した投資家が3割程度にとどまっており、16年はここ数年で最も悪い成績だ。
日本のFX個人投資家は「ミセス・ワタナベ」の通称で知られる。6月の英国民投票時には逆張りでポンド買いに賭けた個人も多かった。だが、その後の離脱決定でポンド相場は急落。
金融先物取引業協会によると、損失を出した個人から資金を回収できず、6月には業者に約2億円の未収金が発生した。
2016年は52%の投資家が損失を出しています。
ミセス・ワタナベの2017年はどうだったのでしょう?
2017年は外国為替証拠金取引(FX)を手掛ける個人投資家(通称、ミセス・ワタナベ)の運用成績がようやく上向いた1年だったようだ。
有力FX会社の顧客向け調査で、利益を上げた人の比率は41.6%となり、アベノミクス相場下で最悪だった16年を4.8ポイント上回った。
ただ、細かくみると成績改善は限定的。背景には為替変動が小さかったことがありそうだ。
このため、相場上昇が目立ったビットコインなどの取引がミセス・ワタナベの間で大きく増えている様子も、調査で確認された。
(引用:17年のFX投資家 成績改善も関心は仮想通貨へ? )
2017年は少し上向き利益を上げた投資家は41.6%です。
FXは本来、為替が「上がるか」「下がるか」の2択を選択し、利ざやを狙います。
つまり50%の確率で当たるものですが、なんとその50%を下回るレベルでしか利益を上げられていないことがわかると思います。
ではなぜFXは勝てないのか?
FXでミセス・ワタナベ(日本個人投資家)が勝てない理由は「情報」「資金力」が欠如しているからです。
そもそも為替市場は戦争です。
為替市場で戦っているのは、銀行の為替トレーダー、そして大物ヘッジファンドです。
銀行は為替市場で為替に関する取引情報が全て入手できます。
どこの誰がいつどの通貨をどれだけ買った、売った、といった情報が全て筒抜けです。
ある意味では合法的インサイダーなので、その流れに身を任せながら銀行の持つ潤沢な資金を注ぎ込むだけなのです。
大企業がドルを集めている、有名ヘッジファンドがドルを売っている、このような情報が入り次第、銀行も同じ動きをするだけなのです。
有名ヘッジファンドはFXの損切りポイントで資金力にものをいわせ、市場を動かし利益を獲得していきます。
もちろん情報収集にも長けているでしょう。つまり、銀行や大型ヘッジファンドが市場を支配し、その養分となっているのが個人投資家なのです。
この環境で個人投資家がFXで勝つには、抜け穴を見つけ、独自の理論を構築するしかありません。
しかし、そう簡単なことではなく、その理論を確立するまでに何年も掛かったりします。
テレビでは天才トレーダーが特集されたりしますが、彼らは極少数の日本に一人か二人しかいないレベルの天才と言えるでしょう。
まずは1000万円を目指し堅実に1億円と資産を育てるのがおすすめ
資産運用するにしてもある程度の資産がないとあまり意味がありません。
数十万円や100万円程度ではまだまだ本格的に資産運用を行うフェーズではないのです。
1000万円という資産を形成できたら選択肢が飛躍的に広がります。
→ 1000万円あったらどこに投資する?資産運用を行う際の選択しとなる投資先9種類を徹底比較!
1000万円の資産があれば特別な選択肢であるヘッジファンドへの投資も可能となります。
筆者が投資をしている国内優良投資ファンドのBMキャピタルも1000万円からの投資を受け入れています。
1000万円を構築した後に年率10%程度で着実に資産を育てていくのが現代では効果的かと思います。