資産1000万円を越え始める頃が、多くの人が資産運用を本気で考え出すタイミングですよね。
私自身も、資産1000万円までは節約とインデックス投資、転職で年収アップをすることに集中していました。
しかし、1000万円という節目を迎え、将来どれくらいの資産がこのペースなら見込まれるのか?
と計算した結果、頭打ち感を感じ、株式投資や投資信託などでさらなるリターンを求め始めました。
その中で、やはり安全に資産を育てるには、債券投資なのではないかと考え、一時期調査していました。
今回は、1000万円という資金を国債に投資した場合、どれくらいのリターンが見込まれるのかという点をお話させていただきます。
もくじ
国債とは、社債との違い
「国債」という言葉はよく新聞やテレビで目にする単語です。
国債は国の発行する債券です。
債券は、国や企業などの発行体が、投資家から資金を借り入れるために発行する有価証券です。債券には満期が定められており、満期となる償還日には、額面金額が投資家に払い戻されます。投資家は、発行体に対してお金を貸す代わりに利子をもらう、というイメージです。
出所:債券とは?
簡単にいえば、信頼できる国や企業など発行体にお金を貸して利息を貰うということです。
基本的に、国が財政破綻しない限りは返金されますので、元本保証に近い投資先という見方もできます。
国債は、日本のみならず、米国やその他新興国などでも発行されており、日本人でも海外債券をネット証券などを通じて購入可能です。
社債はソフトバンクなど大企業が発行し投資家を募集することもありますね。
発行体が国か企業かという違いしかありません。当然、国の方が安全だと思います。
今回は社債はひとまず置いておいて、国債を中心に触れていきます。
日本で買える国債は個人向け国債
日本の国債を購入する前に、条件を確認しましょう。1万円から購入可能となっており、元本割れなし、と財務省が謳っています。
1000万円を国債の最低金利保証で運用を考えると、年利回り0.5%、リターンは5,000円(税前、手数料前)です。(少ないですね)
他にも以下のプランがありますが、0.03%〜0.66%のレンジです。細かく計算する気も起きない利回りです。
世界中の国債がネットで購入できる時代
私は楽天証券を使っていますので、上記は楽天証券が取り扱っている海外債券です。以下はSBI証券の取り扱いです。
SBI証券でないと、ロシアとカナダ債券の購入はできないみたいですね。

https://site1.sbisec.co.jp/ETGate/WPLETmgR001Control?OutSide=on&getFlg=on&burl=search_bond&cat1=bond&cat2=foreign&dir=foreign&file=bond_foreign_02.html
リアルタイムの世界の国債の利回りはinvesting.comが参考になります。
2016年までは以下の水準の利回りでした。
米ドルで通貨も安定、国としても世界の先頭を走ることで絶大な信頼が置ける米国債はその後、2019年末まで利回りは3%近くまで上昇しました。
海外の国債を購入する選択肢を取ろうとする人は、日本の預金金利(メガバンクで0.001%)の低さから、仕方なく海外で運用しようと考えたパターンが多いです。
たしかに、数億円の資産があり、2019年頃の米国債の利回り3%をほぼ元本保証として運用ができれば、毎年必ず300万円以上のリターンがあるのは魅力です。
1000万円の場合は30万円程度、下手な高配当株よりはよかったかもしれません。
米国債という選択肢
しかし、米国債に関していうと、現在コロナショックの影響もあり、異例の超低金利時代に突入しています。
安定していても、政策金利が非常に低い状態では、米国債に資産を置いておくよりも、他資産に振るべきでしょう。後述します。
名前 | 利回り | 前日終値 | 高値 | 安値 | 前日比 | 前日比% | 時間 |
アメリカ 1月 | 0.101 | 0.101 | 0.101 | 0.101 | 0 | 0.40% | 5月9日 |
アメリカ 3月 | 0.114 | 0.112 | 0.114 | 0.114 | 0.002 | 2.14% | 5月9日 |
アメリカ 6月 | 0.124 | 0.124 | 0.124 | 0.124 | 0 | 0.00% | 4月9日 |
アメリカ 1年 | 0.132 | 0.129 | 0.132 | 0.132 | 0.003 | 2.25% | 5月9日 |
アメリカ 2年 | 0.147 | 0.151 | 0.147 | 0.147 | -0.004 | -0.0278 | 5月9日 |
アメリカ 3年 | 0.178 | 0.184 | 0.178 | 0.178 | -0.006 | -0.0304 | 5月9日 |
アメリカ 5年 | 0.301 | 0.305 | 0.301 | 0.301 | -0.004 | -0.0144 | 5月9日 |
アメリカ 7年 | 0.505 | 0.509 | 0.505 | 0.505 | -0.004 | -0.0086 | 5月9日 |
アメリカ 10年 | 0.721 | 0.723 | 0.721 | 0.721 | -0.002 | -0.0024 | 5月9日 |
U.S. 20Y | 1.26 | 1.258 | 1.26 | 1.26 | 0.002 | 0.17% | 5月9日 |
アメリカ 30年 | 1.473 | 1.471 | 1.473 | 1.473 | 0.002 | 0.16% | 5月9日 |
新興国債券はどうか
新興国債券は利回りが高くて、非常に魅力的ですよね。
高利回りな国債で有名なトルコはどのくらいの利回りを誇るのでしょうか?
なんと10年利回りが13.835%です。
名前 | 利回り | 前日終値 | 高値 | 安値 | 前日比 | 前日比% | 時間 |
トルコ 1年 | 12.705 | 12.5 | 12.705 | 12.705 | 0.205 | 1.64% | 4月9日 |
トルコ 2年 | 13.345 | 12.98 | 13.345 | 13.345 | 0.365 | 2.81% | 4月9日 |
トルコ 3年 | 13.455 | 12.94 | 13.455 | 13.455 | 0.515 | 3.98% | 4月9日 |
トルコ 5年 | 13.48 | 13.26 | 13.48 | 13.48 | 0.22 | 1.66% | 4月9日 |
トルコ 10年 | 13.835 | 13.43 | 13.835 | 13.835 | 0.405 | 3.02% | 4月9日 |
日本の10年債は0.037%ですから、トルコは日本の373倍です。(2020年9月6日時点)
名前 | 利回り | 前日終値 | 高値 | 安値 | 前日比 | 前日比% | 時間 |
日本 1月 | -0.194 | -0.085 | -0.1 | -0.1 | -0.108 | -127.65% | 4月9日 |
日本 3月 | -0.124 | -0.12 | -0.11 | -0.13 | -0.004 | -3.33% | 4月9日 |
日本 6月 | -0.139 | -0.125 | -0.125 | -0.135 | -0.014 | -11.20% | 4月9日 |
日本 9月 | -0.232 | -0.135 | -0.125 | -0.125 | -0.097 | -71.85% | 4月9日 |
日本 1年 | -0.136 | -0.126 | -0.115 | -0.132 | -0.01 | -7.94% | 5月9日 |
日本 2年 | -0.126 | -0.123 | -0.115 | -0.126 | -0.003 | -2.44% | 5月9日 |
日本 3年 | -0.119 | -0.114 | -0.11 | -0.118 | -0.004 | -3.95% | 5月9日 |
日本 4年 | -0.112 | -0.112 | -0.105 | -0.117 | 0 | 0.00% | 5月9日 |
日本 5年 | -0.085 | -0.083 | -0.077 | -0.088 | -0.002 | -2.41% | 5月9日 |
日本 6年 | -0.087 | -0.085 | -0.075 | -0.094 | -0.002 | -2.35% | 5月9日 |
日本 7年 | -0.071 | -0.071 | -0.065 | -0.08 | 0 | 0.00% | 5月9日 |
日本 8年 | -0.042 | -0.041 | -0.035 | -0.05 | -0.001 | -2.44% | 5月9日 |
日本 9年 | 0.008 | 0.008 | 0.015 | -0.001 | -0.001 | -6.25% | 5月9日 |
日本 10年 | 0.037 | 0.036 | 0.044 | 0.03 | 0.001 | 2.78% | 5月9日 |
日本 15年 | 0.291 | 0.276 | 0.29 | 0.268 | 0.015 | 5.25% | 5月9日 |
日本 20年 | 0.42 | 0.42 | 0.43 | 0.412 | 0 | 0.00% | 5月9日 |
日本 30年 | 0.606 | 0.608 | 0.62 | 0.599 | -0.002 | -0.33% | 5月9日 |
日本 40年 | 0.619 | 0.63 | 0.64 | 0.623 | -0.011 | -1.83% | 5月9日 |
しかし、国債の利回りだけで資金を投下する判断をしてはいけません。
国債を購入する時は外貨建てとなりますが、トルコリラの為替動向とインフレ率の上限を見て判断していくことになります。
まずはインフレ率。
凄まじい上下運動を起こしています。インフレ率が上昇するその意味は、通貨の価値が下落するという意味です。
2018年の10月にはインフレ率が約26%を記録しています。日米がインフレ率2%が適正としている中で、このインフレ率は凄まじいです。
国民も、インフレ率が低い間に買い物をしなければ!という水準です。
その後落ち着いて2020年4月時点ではトルコのインフレ率は10%程度です。(全く落ち着いていないのですが)
インフレ率のボラティリティが高いことの意味するところは、通貨価値のボラティリティも高くなることにイコールです。
たとえ高金利の国債を購入して、高い利息を貰えても、日本円に引き戻る際に、大きく為替リスクが伴うのです。
以下はトルコリラの為替レート推移です。対日本円です。
2017年1月に1TRY(トルコリラ)=30.664円でした。
2020年7月には1TRY(トルコリラ)=15.7788円です。
大幅に円高となっており、2017年1月にトルコリラの国債を購入した人は、3年間10%以上の利回りがあったとしても、日本円に引き戻す際に、元本の半分が毀損されることになります。
反対に、今トルコ債券を仕込んで、円安、TRY高が将来見込める、という自信がある人は良いのかもしれません。
しかし、現状、コロナショックやウィルス感染拡大傾向にある中で、有事の円と言われるほどに我々の国の通貨は強いです。
しばらくは、このまま円高が進んでいくことが、考えられるベースシナリオでしょう。
ついでに、南アフリカの国債とインフレ率、為替レートも掲載しておきます。
名前 | 利回り | 前日終値 | 高値 | 安値 | 前日比 | 前日比% | 時間 |
南アフリカ 3月 | 3.85 | 3.75 | 4.2 | 3.85 | 0.1 | 2.67% | 4月9日 |
南アフリカ 2年 | 4.515 | 4.515 | 4.56 | 4.435 | 0.035 | 0.00% | 5月9日 |
南アフリカ 5年 | 7.325 | 7.325 | 7.325 | 7.195 | 0.075 | 0.00% | 5月9日 |
南アフリカ 10年 | 9.23 | 9.23 | 9.235 | 9.065 | 0.12 | 0.00% | 5月9日 |
Souht Africa 12Y | 10.13 | 10.13 | 10.145 | 9.975 | 0.11 | 0.00% | 5月9日 |
南アフリカ 20年 | 11.29 | 11.29 | 11.3 | 11.12 | 0.1 | 0.00% | 5月9日 |
南アフリカ 25年 | 11.395 | 11.395 | 11.395 | 11.22 | 0.13 | 0.00% | 5月9日 |
南アフリカ 30年 | 11.37 | 11.37 | 11.37 | 11.205 | 0.1 | 0.00% | 5月9日 |
南アフリカ10年債で9.230%。
非常に魅力的な金利です。インフレ率がどうでしょう。
インフレ率は非常に高い水準で、ピーク時は5.5%、2019年末は4.5%です。
トルコと並べると非常に安定しているように思えるのですが、上記でも申し上げましたがインフレ率は先進国である日本と米国で2%程度が適正とされています。
その2倍の4.5%は、非常に高い水準です。
2017年1月に1ZAR(南アランド)=8.4727円でした。
2020年7月には1ZAR(南アランド)=6.3619円です。
約33%の下落です。3年半で33%なので、利回り10%で複利を回していればリターンはトントンというところですね。
南アフリカに関しては、トルコもそうなのですが、度々政治の汚職や膨大な企業債務が取り沙汰され、国のデフォルト(債務不履行、倒産状態)が囁かれる国であり、全く安定性がありません。
銀行・証券会社への手数料も高くなりますので、上記でリターンはトントンと書きましたが、この3年間はたぶん、結果的には赤字です。
細かく計算しようかとも思いましたが、答えが明白なのでやめておきます。
新興国債券を勧めてくる金融会社の社員もいますが、はっきり言って基本的なリスクの説明すらなされていないような気がします。
新興国債券で大事な1000万円を資産運用するのは、絶対に無しです。
今は金融相場、国債は選択肢にならない
2020年に入り、新型コロナウィルス感染拡大騒動により、世界中で低金利政策が行われています。
低金利政策は、各国が落ち込んだ景気をなんとか回復させるために、機械的に行う政策です。(すでに大規模な財政出動も行なっていますね)。
その政策のいく末としては、インフレ率が上昇し、通貨価値が大きく毀損していくことが明らかな今、国債は資産運用先として全く選択肢にはなりません。
インフレが上昇するということは、株はもちろんのこと、不動産や金(GOLD)などのコモディティに資金が集まっていくことは明白です。
ちなみに、2020年8月に米国議会に異変が起きました。
FED Chairmanのパウエル議長が、今後米国はインフレ率が2%を多少超える水準になっても、政策金利を簡単には上げないと声明を出したのです。
これまでは米国は2%に到達するまでに利上げを段階的に行い、景気をコントロールしてきました。
しかし、2%を超える水準まで待機するということですから、今後株式市場はさらに成長を見せ、コモディティの価値も上昇することは明白です。
ここから数年間(5年スパン)は間違いなく国債ではありません。
コモディティも良いですが、やはりリターンが一番見込める株式を中心とした運用を行なっていくのをお勧めします。
米国債で安定的に運用がしたい、と考えている人たちが今は仕方なく株を買っていると言われるほどの局面なのです。
株式投資?コモディティ投資?おすすめの投資先
今後は株式やコモディティ投資をするべき、と話をしましたが、実際に株式投資で個別株を購入し、リターンを出すのは難しいです。
そこで、投資信託も視野に入ってきますが、アクティブ投信に関しては全く信用できず、なかなか商品選びに途方が暮れそうです。
投資信託は儲からないのはなぜ?本当におすすめの運用先とは。公募ファンドの仕組み/日米の公募投信のコスト比較 / 信託報酬(手数料)とリターンの関係
私がおすすめしたいのは、このような局面こそ、本当の投資のプロに資産運用をお願いすることです。
欧米では当然の運用方法ですが、まだまだ日本では注目度が高くない、ヘッジファンドの運用です。
現在は株式市場が伸びていきますが、それでも十分な投資知識がなければ、個別銘柄でリターンを出すのは難しいです。
私が運用を任せているのは、日本株を中心にバリュー投資(財務諸表を様々な観点から分析し、割安株を見つける高度な手法)、また状況に応じてコモディティなどにも投資をするマルチストラテジーで安定した利回りを叩き出すBMキャピタルに運用を任せています。
色々と国内にもヘッジファンドはありますが、検討してみてはいかがでしょう。
出資額も1000万円からが多いです。
まとめ
今回は国債で資産運用をすべきかどうかを考えました。
結論としては、全く現状を踏まえると国債での運用は選択肢になりません。
株式、コモディティに資金を投下し、資産を増やしていきましょう。